冒頭まとめ
OpenAI API の 404 は、指定した対象が見つからないことを示します。ただし「何が」見つからないかで、3つの系統に分かれます。
1つ目は**モデルです。code は model_not_found、文言は指定したモデルが存在しないか、アクセス権が無い**、という形になります。
2つ目は経路です。文言は Invalid URL (POST /v1/...) の形で、code は付きません。要求を送った先の経路そのものが存在しない場合です。
3つ目は資源の識別子です。ファイルやアシスタントなど、識別子で指定する対象が見つからない場合が該当します。
この3つには共通の性質があります。文言に、実際に要求された内容がそのまま入ることです。モデル名なら送られたモデル名、経路なら送られた経路。したがって、自分が指定したつもりの値と突き合わせるだけで、原因の大半は確定します。
そしてもう1つ、押さえるべき点があります。モデルの文言は、存在しないのか、権限が無いのかを区別しません。1つの文に両方が併記されています。したがって「モデル名が正しいか」だけを確認しても、原因の半分しか潰せません。
エラーの概要
モデルが見つからない場合の応答です。
{
"error": {
"message": "The model `gpt-4` does not exist or you do not have access to it.",
"type": "invalid_request_error",
"param": null,
"code": "model_not_found"
}
}
param は null です。どのパラメータが問題かは示されません。示されるのはモデル名そのもので、文言の中に埋め込まれています。
経路が違う場合は、形式がまったく変わります。
404 Invalid URL (POST /v1/chat/completions/)
括弧の中に、実際に要求されたメソッドと経路が入ります。上の例では末尾に余分な区切り文字が付いています。これが原因そのものです。
同じ形で、次のような経路も報告されています。
404 Invalid URL (POST /v1/v1/chat/completions)
404 Invalid URL (POST /v1/chat/completions/chat/completions/)
いずれも、基点となる URL と経路の組み立てが二重になった結果です。文言を読めば、何が起きたかがそのまま見えます。
まず最初に:文言に入っている値を自分の指定と突き合わせる
第一に、code があるかを見ます。model_not_found ならモデルの系統、無ければ経路か資源の系統です。
第二に、文言に括弧付きの経路が入っていれば、それが実際に要求された経路です。自分が設定した基点 URL と、ソフトウェア開発キットが付ける経路の組み合わせを確認します。
第三に、モデル名が入っていれば、綴りを確認します。ただし綴りが正しくても終わりではありません。
第四に、綴りが正しい場合は**アクセス権の側**を疑います。文言はこの2つを区別しないためです。
よくある原因と解決手順
原因1:モデル名は正しいが、アクセス権が無い
見落とされやすい形です。文言に「存在しないか、アクセス権が無い」と併記されている以上、綴りの確認だけでは足りません。
アクセス権が分かれる要因はいくつかあります。組織の利用段階によって使えるモデルが違う場合、プロジェクト単位でモデルが制限されている場合、そして地域の制限がかかっている場合です。
# いま実際に使えるモデルの一覧を取得する(推測より確実)
curl -sS https://api.openai.com/v1/models \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
| python3 -c "import json,sys; [print(m['id']) for m in json.load(sys.stdin)['data']]" | sort
# 特定のモデルだけを確認する
curl -sS -o /dev/null -w "%{http_code}\n" https://api.openai.com/v1/models/gpt-4o \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY"
一覧に出てこないなら、そのキーからは使えません。一覧に無いモデルを指定し続けても、綴りをどう直しても通りません。
複数のプロジェクトを使い分けている場合、キーの属するプロジェクトによって結果が変わります。別のキーで一覧を取ると内容が違う、という形で切り分けられます。
原因2:昨日まで動いていたモデルが消えた
コードを変えていないのに突然 404 になる場合です。モデルには提供の終了があり、廃止されると同じ文言で「存在しない」と扱われます。
この形では、綴りもアクセス権も問題ではありません。モデルの側が無くなっています。対処は後継のモデルへの切り替えです。
固定のモデル名をコードへ直接書いていると、この事態に弱くなります。設定として外に出しておけば、切り替えが1か所で済みます。
# モデル名を設定として外に出す
MODEL = os.environ.get("OPENAI_MODEL", "gpt-4o-mini")
client.chat.completions.create(model=MODEL, messages=[...])
原因3:経路が二重になっている
Invalid URL の形で返る場合です。原因のほとんどは、基点となる URL と経路の組み立てが重複していることです。
Before(基点にも経路にも版を含める):
client = OpenAI(base_url="https://api.openai.com/v1/") # 末尾に区切り文字
# 開発キットが /chat/completions を付けるため、経路が崩れる
After(基点は版まで、末尾の区切り文字は付けない):
client = OpenAI(base_url="https://api.openai.com/v1")
代替の提供元や中継の仕組みを使っている場合、その基点 URL に既に版が含まれていることがあります。その状態で開発キットに版を足させると、/v1/v1/... の形になります。文言の括弧内を読めば、どちらが余分かが一目で分かります。
まとめて実行する仕組みで送る場合も同様です。項目として指定する経路に版を含めるかどうかで、同じ問題が起こります。
原因4:モデルと経路の組み合わせが合っていない
経路は実在するが、そのモデルがその経路に対応していない場合です。会話形式のモデルを、旧来の補完用の経路へ送った場合が代表例です。
この場合、モデル名も経路も単体では正しいため、どちらを見ても間違いが見つかりません。組み合わせが問題です。
対処は、使うモデルに対応した経路を確認することです。会話形式のモデルは会話用の経路、埋め込みは埋め込み用の経路、と対応が決まっています。
原因5:資源の識別子が見つからない
ファイル、アシスタント、微調整の実行など、識別子で指定する対象が見つからない場合です。文言には対象の種類と識別子が入ります。
ここで疑うべきは、識別子そのものよりもどのプロジェクトから見ているかです。資源はプロジェクトに属するため、別のプロジェクトのキーで参照すれば「無い」と返ります。
# 資源が現在のキーから見えるかを一覧で確認する
curl -sS https://api.openai.com/v1/files \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
| python3 -c "import json,sys; [print(f['id'], f.get('filename')) for f in json.load(sys.stdin)['data']]"
削除済みの対象を参照している場合も同じ結果になります。作成した処理と参照する処理が別々に動いている構成では、順序や有効期限を確認してください。
補足:似ているが別のもの
認証の失敗は 401 です。キーの誤りだけでなく、組織やプロジェクトの不一致もこちらに含まれます(OpenAI API の 401 の記事)。
地域が対応外の場合は 403 で、type が request_forbidden になります(OpenAI API の 403 の記事)。同じ「使えない」でも、モデルの権限は 404、地域は 403 と分かれます。
送った内容そのものに問題がある場合は 400 です。使えないパラメータや値、上限の超過が該当します(OpenAI API の 400 の記事)。
残高や利用量の問題は 429 です。モデルが使えないという症状は似て見えますが、返るコードが違います。
なお、他の基盤でも 404 が「無い」と「見せない」を兼ねる設計は共通しています。GCP でも、対象の存在を明かさないために 404 が返ることがあると公式に明記されています(GCP の 404 の記事)。
切り分けの順序
codeを見る。model_not_foundならモデル、無ければ経路か資源。- 文言の括弧内に経路があれば、それが実際に要求された経路。基点 URL と突き合わせる。
- モデル名の綴りを確認する。ただし、これだけでは半分。
- 使えるモデルの一覧を取得する。載っていなければ権限の問題。
- 昨日まで動いていたなら、モデルの提供終了を疑う。
- モデルも経路も正しいなら、組み合わせを疑う。
- 資源の識別子なら、キーの属するプロジェクトを確認する。
- 地域の制限であれば 403 の側。
typeで見分ける。
確認コマンド集
# 1. エラーの code と文言を取り出す
curl -sS https://api.openai.com/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"model":"gpt-4o-mini","messages":[{"role":"user","content":"hi"}]}' \
| python3 -c "import json,sys; e=json.load(sys.stdin).get('error',{}); print(e.get('code'), '|', e.get('message'))"
# 2. 実際に要求されている URL を確認する(開発キット経由)
python3 -c "
from openai import OpenAI
c = OpenAI()
print('base_url:', c.base_url)
"
# 3. 使えるモデルの一覧を取得する
curl -sS https://api.openai.com/v1/models \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
| python3 -c "import json,sys; [print(m['id']) for m in json.load(sys.stdin)['data']]" | sort
# 4. 特定のモデルが使えるかだけを確認する
curl -sS -o /dev/null -w "%{http_code}\n" https://api.openai.com/v1/models/<モデル名> \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY"
# 5. 経路を明示して最小の要求を送る(開発キットの組み立てを排除する)
curl -sS -o /dev/null -w "%{http_code}\n" https://api.openai.com/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{"model":"gpt-4o-mini","messages":[{"role":"user","content":"hi"}]}'
# 6. 資源が現在のキーから見えるかを確認する
curl -sS https://api.openai.com/v1/files \
-H "Authorization: Bearer $OPENAI_API_KEY" | head -c 500
Editor’s Note
Invalid URL の形で返る 404 は、答えが文言の中に書かれている種類のエラーです。それを示す報告があります(openai.chat.completions.create throws a 404 Invalid URL error)。
2023年10月、公式のソフトウェア開発キットを使ったアプリケーションで 404 Invalid URL (POST /v1/chat/completions/) が出続ける、という内容です。報告者は同じエンドポイントを別の道具から呼ぶと正常に動くことを確認しており、プログラム側の問題だと絞り込んでいます。
そして、報告の中でこう書いています。エラー文言に出ている経路には、余分な区切り文字が1つ付いている。正しい経路との違いは、末尾のその1文字だけでした。URL の組み立て方を差し替えたところ、期待どおりに動くようになっています。
このエラーの構造は、401 の文言に送られたキーが入るのと同じです。サーバーは、受け取ったものをそのまま返しています。したがって、自分の設定を眺めるより、返ってきた文言を読むほうが速い。設定ファイルには正しく見える値が書いてあり、実際に送られているものが違う、という状況は珍しくありません。
モデルの側の 404 にも似た性質があります。ただしこちらは、文言が「存在しない」と「権限が無い」を区別しません。綴りを何度見直しても、権限の問題なら永久に直りません。一覧を取得して、使えるモデルを事実として確認するのが最短です。
404 に当たったら、文言の中の値を読む。それが自分の指定と一致するか。一致するなら、次に疑うのは権限です。
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